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小学校外国語科(国際科)における「読む力」の育成(2024.7.16)

公開日
2024/07/16
更新日
2024/08/27

「読む力」の育成

 7月11日(木)、城内小学校にて「授業力向上研修(小学校編)」が行われました。英語専科教員による5年生と6年生の2つの外国語科(国際科)の授業が公開されました。小学校外国語科では、聞いて十分に慣れ親しんで(インプット)から話すこと(アウトプット)という流れが重視されています。外国語科における「読む力」を「話された内容や意味を理解すること」ととらえ、子供が内容を正しく、深く聞き取れるよう、公開授業では「発問」と「指示」に工夫が見られました。



【5限】5年生ONE WORLD Smile 5 Lesson 3「I have P.E. on Monday.」(6/8時間目)で育む「深く読む力」


発問:英文を聞いて、3人の夢の時間割を完成させよう。完成した時間割と夢の授業を線で結ぼう。

指示:(3問目の英語を聞く前に)どんな英語が聞こえてくるか想像して聞き、ペアで確認しよう。


 授業の終末、計3問のListening問題に取り組みました。2問目まで解答すると、3問目は英語を聞かずとも、消去法で自動的に解答が決まります。賢い子はそれに気づき、英語を聞かずに解答するかもしれません。そうならないよう、英語を聞く前に出てくる英語を予想させました。こうすることで、子供たちは自分の予想が正しいか検証するため、集中してListeningに取り組みました。既知の情報から、新たな情報を予想することは「深く読む力」を育みます。



【6限】6年生ONE WORLD Smile 6 Lesson 3「Welcome to Japan.」(6/7時間目)で育む「正しく読む力」


発問:「日本のすてき」について、相手に上手く伝わるように、自分なりの工夫点を考え発表しよう。

指示:出てきた工夫点を参考に、自分なりに1つ工夫してペアの相手に伝えましょう。

   ペアの相手のどんなところがよかったか、どんな工夫をしたかに注目して聞きましょう


 メイン活動として、ペアで本番に向けての発表練習(発表の練り上げの活動)に取り組みました。ペアを変えて数回発表する中で、英語面での中間指導をした後、子供たちから言語面(情報の追加等)や態度面(声の大きさやトーン、表情等)といった工夫点が挙げられ、全体で共有しました。その後のペアでの発表練習の際に、上の指示が出されました。ただ漠然と英語を聞くのではなく、聞き手が話し手の英語を聞く前に具体的な「聞く視点」を示すことで、子供たちは集中して話し手の発表を聞いていました。「聞く視点」をもって英語を聞くことは「正しく読む力」を育みます。




 2つの授業とも、「帯活動」(表現の定着のために毎回の授業で行われるドリル活動)、「インタラクション」(教えない、問いかけ、共有する指導)、「中間指導」(説明や教える前にまず活動させ、できない、わからないという「困り感」「必要感」をもった後の指導)、ICT活用(デジタル教科書、電子黒板、学習端末の活用)と安定感のある素晴らしい授業でした。子供たちが意欲的に学習に取り組む姿から、普段からしっかりとした授業が行われていることがうかがえ、参観者は多くの示唆を得ることができました。

 

 小学校の外国語活動や外国語科の授業では、「聞くこと」が中心です。聞く活動の中にも、子供たちが意味や内容を正しく、深く読み取る必要がある場面は多くあります。授業者のちょっとした工夫と日々の積み重ねで、子供たちの「読む力」は着実に育まれ、学力向上につながります。各教科で確実に子供たちの「読む力」を高めていただきたいと思います。