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情報モラル教育からデジタル・シティズンシップ教育へ ~2024.11.29 県生涯学習推進センターの研修より~

公開日
2024/12/03
更新日
2024/12/06

ICT・情報モラル教育

 11月29日(金)、オンラインにて新潟県立生涯学習推進センター主催の「デジタル・シティズンシップ研修会」に、当センター指導主事が発表者として参加しました。これまでセンターで実施した2回の「情報モラル教育研修」の内容について発表しました。その後の研修では、講師の一般財団法人インターネット協会主任研究員である大久保真紀様から、「デジタル・シティズンシップ教育」「デジタルウェルビーイング」についてのお話しをお聞きしました。お話の内容を、キーワードと共に紹介します。


次々と生まれる新しいサービスや流行

note:文章や画像、音声、動画を投稿して、ユーザーがそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォーム。大きな特徴は、自分の作ったマガジン(自分や他人の掲載されているトーク、テキスト、サウンド、イメージ、ムービーをまとめたもの)を「無料」もしくは「有料」で配信することができる。
BeReal:写真を共有するアプリで、アプリからの通知を受けてから2分以内に写真や動画を投稿する仕組み。「盛らないSNS」として人気。
ディスコ:動画を見ながらインスタントメッセージ(コミュニケーションサービス・チャットアプリ)・ビデオ通話・音声通話が可能なアプリであるDiscordの略。主にゲーム配信、ゲーム中のコミュニケーションで活用されている。


言葉の意味、わかりますか

グルーミング(チャイルドグルーミング):子どもからの信頼を得て、その罪悪感や羞恥心を利用する性的手なづけ。SNSで言葉巧みにわいせつ画像等を送らせるなど。

闇バイトに関する隠語・用語

・たたき:強盗や窃盗のこと。

・UD:受け子(U)と出し子(D)のこと。

・手押し:対面で直接薬物を売る、運ぶこと。

・野菜:大麻のこと。葉っぱ、草という言い方もある。他にもアイス(覚醒剤)、AK、×、罰(MDMA)などがある。


 保護者が子どものスマホにこれら単語を見つけても、意味がわからなければ子どもは危険。


CEROのゲームレーティングマークや映画倫理機構(映倫)の区分

A(全年齢対象):マインクラフト、集まれどうぶつの森など

B(12才以上):スーパーマリオオデッセイ(マリオシリーズはほとんどがAでBは数本)など

C(15才以上):フォートナイト、モンスターハンターなど

D(17才以上):APEXなど


 多くの小中学生がプレーしているフォートナイトやモンスターハンターは15才以上が対象のゲーム。映倫の区分も含め、親として注意を払う。

 SNSの年齢制限(オーストラリアでの16歳未満禁止法)、女性教諭中傷動画投稿の疑いで中3と中1男子を逮捕(名誉毀損)、修学旅行で男子中学生が入浴中の女子生徒を盗撮し警察が捜査、と様々なネット関連のニュースが流れている。保護者が関心をもち、ある程度の知識を身に付けていなければ、子どもに話はできない。まずは「知ること」が大切。


お家の方の「責任」

ペアレンタルコントロール

・フィルタリングで有害情報等からの危機回避、年齢に応じたコンテンツでリテラシーを体得、使いすぎや依存の防止。

・端末は親の所有物、いつでも見る、いつでも取り上げると宣言しておく。

・ゲームや動画視聴以外にも、楽しいことがたくさんあることを子どもに認識させる(五感を使い、人と関わり、親子で体験する、楽しむ)。


保護者の「デジタル・シティズンシップ教育」

デジタルウェルビーイング(機器やテクノロジーを適切に使用して心身共に健康であること)を目指して。

・リアルでもネットでも、子どもには「命を大切にしてほしい」「節度をもって人と接してほしい」という親の願い。

・スマホ、ネットは「道具」。楽しい時間を過ごすため、生活を豊かにするため、自分の夢や願いをかなえるためという「目的」のために使うもの。

・物事もネットも表裏一体、光(利便性)もあれば闇(危険性)もある。ネットやゲーム、SNS自体が悪いのではない、そこに悪い人が紛れ込んでいる。

・「親が自分よりスマホを大事にしていると感じることがある」と回答した子どもが2割。子どもは親の映し鏡、まずは大人のスマホ利用を見直す。


 学校ではよく、スマホ等の所持については「お家の判断で」と言います。だからといって、「デジタル・シティズンシップ教育」を行わなくてもよいとはなりません。学習指導要領では「情報モラル」を「情報社会で適正な活動を行うための基となる考え方と態度」と示しています。また、教育の情報化に関する手引では「他者への影響を考え、人権、知的財産等の自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任を持つことや、危機回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなど」と示しています。内閣府からは、「次期指導要領では、デジタル・シティズンシップ教育を各教科で推進する」「ICT機器の具体的な操作に関しての心構えとして、端末を活用しながら身に付けていく」という声が聞かれます。


 南魚沼市でもようやく教育活動におけるICT活用が浸透してきました。子どもたちが適切にICTを活用できるよう、今後は、端末を1つの筆記用具として、子ども自身が取捨選択しながら活用できる学習の構想、学校を離れても安全にネットを活用できる「心構え」を身に付ける教育が求められます。そのため、先生方にはまず「デジタル・シティズンシップ教育」に注目していただければと思います。